「世界に散らばる古き美しいものを全て集めて人形を作ろう」
軌道人らしいある種の狂気を含んだ計画により、災厄前に連なるあらゆる「美しい」とされるものを集めた人形が作られた。
そして古来東西の美を組み合わせて作った美しい女性の人形ははたして作られた。美というとしては申し分のない作品であったが、ただそれだけであった。特に意識の部分が電脳で作られたのが問題であり、彼女は災厄後の、現代の感性でしか動けず、古代の肉体に負荷をかけた。
結果として彼女は早々に飽きられ、地上に打ち捨てられた。
そして偶然にもサロン・ドルファンに拾われ、アルドラ大公の手によって修復されることになる。
大公は魔会へと彼女を送り込み、「かの者いずれの血に属すや」と問うた。
思惑はあれども、出自をはっきりさせておくこと（あるいは彼らにしても結論を出せないと踏んで、それを笑うためか）は必要な手順だと踏んだのだ。

そして結論は出ていない。
いずれの血脈にも連なる力を持ちながら、あまりにも入り組んだ構造は、どの血脈をも表に出すことを禁じていた。彼女の意思は全ての部分品の合議であり、特に認められなければその人格を表に出すことはできない。

少なくとも人工物──さすがにこのキメラな何かを自然発生したとは考えられなかった──であることは確かなので、彼女は〈人形の一族〉の魔王コッペリア預かりとなり、必要に応じてそれぞれの魔王に「血族」として貸し出されると処された。
また、アルドラ大公には（何らかの取引があったのか）特に彼女を借り受ける権利を得ることになった。

普段はコッペリアの居城で籠の鳥状態らしい。
首輪が１４個ついており、そのうち１３個にはそれぞれの魔王の名が刻まれている（１４個目はアルドラの名前が刻まれている）。

人形の一族でありながら完全な肉体を持つため、妊娠が可能だと思われる（出産については不明）。事実、天敵であるバサラの胎児を自分の胎内に入れ、アヤカシ化させるということを行い、コッペリアを仰天させている。

経験点消費：614
▼能力値上昇
【外界】＋１（１０点）
ブランチ１０点
１２０点残